万農塾“卒業”し就農 畑や家、心強いサポート

青木 真司さん

北九州市から脱サラ

福岡県北九州市出身の青木真司さん(45)。=宇部市船木大野=はそれまでのサービス業を離れ、2013年からの憧れの農業に就いた。

 08年にやまぐち農林振興公社に相談したが、1000万円の支出金が必要と知り、断念。それでも諦め切れず12年に再び同公社を訪ね、楠こもれびの郷にある研修施設、万農(ばんのう)塾を紹介してもらった。自分に合った野菜の育て方を学び、就農から5年間はサービスを受けられると知り、思い切って転身した。

 移住者にとって大きな課題は、活動拠点を探すこと。同塾では農業のノウハウ指導に加え、就農できる畑や家族で住む家の口利きもしてもらったという。「知らない土地で右往左往しているときに間に入ってもらい、とても助かった」と青木さん。現在は、妻の知子さん(44)と「はらぺこファームあおき」(合計約1ヘクタール)でスイートトウモロコシやハナッコリーなど、年間30~40品目を栽培している。

 担い手不足の大野地区を活性化できるように、日々励んでいる。手伝いをよくしてくれる2人の息子を後継者に、とは考えていないが、興味を持ってくれたときは「帰る場所になりたい」と話した。

 宇部市での暮らしは、北部総合支所があるため必要な手続きにかかる時間が少ないことや、バスが時間通りに来てくれることなど、人口の多い都市では感じられなかった快適さがある。病院が近くにあるのも安心できる要素の一つ。

 今後も宇部で農業を続けていく上で、地元産野菜を求める人と農家のマッチングなど販売窓口をもっと増やし、農家同士でも加工や小売りを分担して効率よく回せるシステムをつくることが大切と指摘。市の力を貸してもらえればと語った。

 移住を考えている人に向けては「40歳手前の脱サラには不安があったが、一歩踏み込んだおかげで天職に出合えた。心配している以上に何とかなると伝えたい」と話した。

写真提供:宇部日報社

※(数字)は取材当時の年齢です