自分の頑張りが収入に 縁のない地、周囲の支え大きく

松浦 駿さん

神戸からIターン

 兵庫県神戸市出身の松浦駿さん(26)は、高校卒業後、宇部で漁師としてのスタートを切った。縁もゆかりもない地での一人暮らしに、慣れない力仕事。最初は不規則な勤務時間や船酔いにも悩まされた。「辞めたくなることもあったが、先輩漁師や地元の人に支えてもらった」と振り返る。

 小学校低学年の頃、漁業の体験イベントで、網に掛かった大きな魚に胸を躍らせ「漁師」という職業に漠然とした興味を持った。その思いは大きくなっても変わらず、高校3年時の進路決定で、若手漁師の受け入れに積極的だった宇部岬漁業組合を知り、移り住むことを決めた。

 移住後はベテラン漁師に弟子入り。漁具の扱い方や魚が捕れるポイントの見極め方などを学んだ。優しい師匠だったが、道具の手入れについては別。「どんなに疲れていても商売道具は大切に。次の漁の準備も絶対にその日のうちにしておくこと」と厳しく言われた。

 2年間の見習い期間を終え、21歳で独り立ち。愛用している漁船は、長年師匠と共に瀬戸内海を駆け巡った船だ。今もメンテナンスをしっかりし、日々の漁に備えている。

 時期にもよるが、漁に出る日は午前2時半に起床。3時半に出港してポイントまで移動し、レンチョウ、ヒラメ、アカエビなどを狙う。魚種によっては防府市の野島や下松市の笠戸島まで繰り出すことも。お目当ての魚が大漁だったり、思わぬ大物が掛かったりすると胸が躍る。

 漁業は自然条件に左右される職業だが、自分の頑張りが収入に直結することも多い。「つらいこともあるが自分のペースでやれる」と言う。

 宇部の魅力について「飛行機や新幹線など交通の便が充実していて、首都圏や都市部へのアクセスが良好。道路も整備され、買い物もしやすい。宇部ラーメンの味も、お気に入り」と話した。

写真提供:宇部日報社

※(数字)は取材当時の年齢です