家族と一緒の時間大切 祖父との思い出の家に住む

徳永 祐亮さん

広島から東吉部に

福岡県北九州市出身の徳永祐亮さん(39)。昨年7月、5年間暮らした広島県から、母方の祖父が住んでいた東吉部の住宅に引っ越した。子どもの頃、毎年のように訪れ、どれだけ月日がたっても変わらない町並みは「昔のまま温かく迎えてくれる場所」と言う。

 愛知県内の大学を卒業後、「海外で仕事をしてみたい」と考え、海上自衛隊に入隊。海が好きだったことや、PKO活動に興味があったことも大きかった。

 自衛官時代は半年以上海外勤務に就くことも珍しくなく、危険な任務をこなすことも多かった。そんな生活が長く続いたことから「家族と一緒に過ごせる時間を大切にしたい」と考え、33歳で退官。次の職を探していた時、知人からの勧めがあり、東広島市で林業に就いた。「収入は減ったが、生活は充実した」と語る。

 そうした折、亡くなった祖父の住宅が傷んでいることに気が付いた。定期的に母親が手入れしていたが、人が住まなくなった家屋は傷むのも早い。どんどん古くなっていく様子を見て「祖父との思い出を大切にしたい」と考えるようになった。そんな気持ちから宇部への移住を決めた。

 現在は美祢市のカルスト森林組合に所属。同市を中心に宇部、山陽小野田の山林で樹木の伐採や運び出し作業をこなす。個人宅の竹林などでも作業。「夏場や厳寒期の外仕事は大変だが、日々現場が変わることで、新鮮な気持ちで仕事に臨めるのが魅力。同じ種類の木でも一本一本違う個性を持っているのも面白い」と話す。

 宇部に住み始めてもうすぐ1年。休日の家族サービスでは地元の名所をのんびり散歩する。お気に入りのスポットは吉部八幡宮や荒滝山。自宅近くの山で山菜採りもし、季節の移り変わりを楽しむ。

写真提供:宇部日報社

※(数字)は取材当時の年齢です