動物本来の姿を見て、知ってもらいたい。

ときわ動物園園長

多々良 成紀さん

Seiki Tatara

愛媛県松山市出身。

1991年に開園した高知県立のいち動物公園の立ち上げから携わり、2021年3月の定年までの30年余りを同園で尽力。獣医師や副園長を経て、最後の9年間は園長を務めた。ちょうど次期園長の公募を行っていたときわ動物園に「これまでの経験を生かしたい」と応募し、2021年4月から2代目園長に就任し宇部市へ。

実際に宇部暮らしをスタートされて感じた宇部の印象を伺ってみました。

「高知県と違って宇部の山はなだらかですね。常盤湖など自然もたくさんある一方、大きな工場もある。そんな風景をとても新鮮に感じています。宇部市に来て一番いいなと思ったのは、道路!綺麗で大きな道がドーンとあるのに、交通量はその割に少なくて、皆さんのんびりと運転されています。道を知らない人でも安心して運転できるので、私も助かっています。山口市まで一直線の無料道路もとても便利ですね」

新たな動物園でのお仕事はいかがでしょうか?

「ときわ動物園の最大の魅力は生息環境展示。これだけ徹底して作り込んでいる動物園は全国でも他にはないですね。今は<動物福祉>が重要視されている時代です。動物はもちろんのこと、お客さんも、檻に囲まれた動物を観るよりは自然の中でのびのび生きている動物を観る方がいいですよね。動物本来の行動を見ることもできるので、より深くその動物を知ることができるのです。動物園は楽しむだけでなく、「知るための施設」でもあると考えています。今はテレビやSNSなど、何でも簡単に映像を見ることができるようになった反面、本物の動物に接する機会が減ってきています。本物を目にしないとわからない大きさ、におい、音、気配、臨場感…それを体験してもらい、「知る」につなげていくのが使命。そこにますます磨きをかけていきたいですね」

お話によると、<生息環境展示>という動物にとっての「自然」を人間がキープすることは、労力や金銭面でも想像以上に大変で課題も山積みだそうです。
「動物だけでなく、同時に植物など自然の面倒も見ないといけないですからね。苦労も多いですが、動物たちの幸せそうな姿を見ることが何よりの喜び。それをバネにして、みんなで取り組んでいますよ」と、優しい笑顔を見せてくれた多々良園長さんは、とても頼もしくもありました。

趣味はカメラでもある多々良園長さん。リスザルの親子やアルパカのお顔のアップなど、動物愛に溢れる園長さんの視点で撮った写真がポストカードにもなっています。ときわ動物園にお越しの際は、お土産屋さんの「TOKIWA ZOOベニア館」ものぞいてみてくださいね!

リスザル