かゆい所に手が届く環境 引っ越し繰り返したどり着く

中川 みず絵さん

名古屋出身Iターン

 愛知県名古屋市出身の中川みず絵さんは、福岡、埼玉、東京、長野などを転々とすること二十数年、宇部へ移住してきて4年がたった。車中泊をしながらの旅行が趣味で「広々とした空の下で暮らしたい」と日本各地で理想の住処(すみか)を探し続けてきた。旅のような人生の先にたどり着いた宇部で、悠々自適な第二の人生を謳歌(おうか)している。

 30歳の頃に故郷を離れ、一人で子育てをしながら場所を選ばないライターや編集の仕事をこなしてきた。都会の高層マンションから八ヶ岳山麓の別荘地、地方都市まで、さまざまな地での生活を経験。穏やかな田舎の不便さや、便利な都会の窮屈感、それぞれの一長一短を感じながら3、4年ごとに移住を繰り返してきた。

 大阪出身で、宇部在住歴30年以上になる夫と出会い、縁のなかった宇部での暮らしがスタート。未知の街に不安はあったが、港町の景色はすぐに気に入った。今まで住んだどのまちよりもスムーズでレベルの高い医療体制にも驚いたが、特にありがたかったのは、移住者が生活に挫折する原因になる地域特有の窮屈さがないという魅力。定住はしても旅をするように暮らしたいという思いは変わらなかったが、飛行機を使って東京へ行く、車で地方都市に向かうのも簡単で、実際に出掛けることがなくても「いつでも外に出られる」という安心感は大きかった。「心身共に落ち着く材料がそろっていて、精神的にバランスの取れるまち」と住み心地の良さには太鼓判を押す。

 瀬戸内の適度に温暖な気候は、趣味の金魚を飼うにも抜群の環境。新しいことを始めたいと日本画が習える場所を探したときも、すぐ身近に講師を見つけられたりと、何気ないときにかゆい所に手が届く環境にも助けられているという。

 休日にはキャンピングカーで夫婦2人、九州や四国一周などにも出掛ける。「子育ても終わり、ずっと挑戦したかった趣味を全力でするためのスタートラインに立ったところ。意外にも、そのための条件が宇部にはそろっていた。自身の幸せに対して貪欲に、いろんなことにチャレンジしていきたい」と語った。

宇部日報2020年2月15日掲載
写真提供:宇部日報社