独立の夢に最適の地 アスパラで農業の基盤

渡辺 泰彦さん

京都府京田辺市出身の渡辺泰彦さん(41)は結婚を機に、移住。妻・美香さん(43)の実家そばの常盤台に住みながら、船木の農場でアスパラを育てている。

 高校で農業や園芸について学んだ後、大阪の服飾デザイン専門学校に通ったり、飲食店でアルバイトしたりして、自分のやりたいことを探していた22歳の時、京都市の九条ネギ生産会社に入社し、農業の道へ。4年ほど働き、奈良にある有機農業を手掛ける会社に転職した。

 仕事をしながら、常にいずれは独立したいという夢を描いていた。結婚前に、宇部には何度か訪れたことがあり、生活利便性が高いことを肌で実感。自然は豊かで、台風の直撃や大雪など天災被害の確率が低いことも知り、農業をするのにイメージがしやすかった。

 30歳の時に移住。初めの1年間は知り合いの土地を借りて野菜を作っていたが、より自分の理想の地を求めて、市役所に相談。紹介されたのが、楠こもれびの郷の農業研修交流施設「万農塾」だった。そこでアスパラに出合い、2年間の研修期間で栽培方法や生計を立てるすべを勉強した。

 その後、同塾の職員として6年間勤務し、昨年3月に独立。7500平方メートルの土地を借り、アスパラを専門に栽培する。1年目は5棟のビニールハウスで2・7トンを出荷。来春までにさらに5棟を増やし、4年後には出荷量を倍増させる。規模拡大に伴い、雇用も考えている。「まずは、アスパラで農業の基盤をつくる。その上で、将来的には他の野菜にも取り組んでいければ」と夢を語る。

 宇部への移住や農業を考えている人には「ネットで情報を得ることはできるが、市役所に足を運ぶことを勧めたい。とても親身になって相談に乗ってもらえる。そこから、新しい出会いやきっかけも生まれる」とアドバイスを送る。

 食は、宇部の魅力の一つ。「おいしい物がいっぱい。魚の刺し身は、どこのスーパーで買っても新鮮なので、大満足。移住してきた当初は関西が恋しかったけど、今はこちらの方が居心地が良い。移住してきて正解だった」と話す。

写真提供:宇部日報社

※(数字)は取材当時の年齢です