いいトコ!!宇部
移住者に聞いてみました
(宇部日報掲載記事)
宝島社(東京)が発行する地方移住希望者向けの月刊誌「田舎暮らしの本」で、2020年版住みたい田舎ベストランキングの総合1位に輝いた宇部市。
その宇部市に移住したみなさんに、宇部市を選んだ理由、その長所や魅力、実際に暮らしてみての感想を聞いてみました。
(宇部日報掲載記事)
宝島社(東京)が発行する地方移住希望者向けの月刊誌「田舎暮らしの本」で、2020年版住みたい田舎ベストランキングの総合1位に輝いた宇部市。
その宇部市に移住したみなさんに、宇部市を選んだ理由、その長所や魅力、実際に暮らしてみての感想を聞いてみました。
インタビュー動画
神奈川県横浜市から移住
宇部市北部の山あいにある楠クリーン村。もともとは2002年、山口県内の農家をサポートするという地元大学のサークル活動として発足。現在は、神奈川、東京、兵庫からの移住者5人のスタッフで多岐にわたって活動中。その活動内容を高田さんにお話を伺いました。
「当初は学生の活動でしたが、時を経て価値観や内容が変化していき、現在は、生産、加工、販売、インターンシップ生の受け入れや食育等の教育、情報発信を、それぞれ小規模で行っています。自分たちで育てた野菜、お茶、果樹、鶏卵やお米などを地域のオーガニックマルシェや青空市で販売し、オンラインショップでは全国のお客様にもお届けしています。一般的な農業とは違い、私たちは『自給』をメインに活動しています」
─都会での便利な生活から一転、田舎で自給。きっかけは何だったのでしょうか?
「高校卒業後、自分で考える力や解決する力、人と議論し良いコミュニケーションをとる力などを身につけることがなかったなと、これまでの教育に疑問を抱き、将来は教育に関わりたいと思いました。その少し後、東日本大震災があり、エネルギーに依存してただ消費するだけの都会の生活から抜け出したいと考えるようになりました。ボランティアサークルで東南アジアの国々に行き、農村の生活を体験したことも、その思いを強くしました。これからの生き方を模索している中、大学の授業でゲストスピーカーとして楠クリーン村の関係者が来られました。それを機に、在学中は何度もインターンでこちらに訪れ、卒業後に移住することになったのです」
─一瞬の出会いが人生を大きく変えることがあるのですね。
「そうですね。今はコロナ禍なので、国内から少人数のみの受け入れなのが残念ですが、以前は毎年、海外(アジア8か国)からの研修生も受け入れていましたよ。今はオンラインで情報交換をしながら幅広いテーマで議論を重ね、国境を越えて学び合い、切磋琢磨しています」
─時代の流れによって様々な活動を展開される「楠クリーン村」ですが、今後の目標は?
「豊かに生きていくための指針や術を学べる場にしたいというのが一番にありますね。自然災害や新型コロナウィルスなどの感染症の蔓延、戦争など世界情勢の混乱による生活の変化は、今後ますます深刻になってくると思います。そんな中「自給」することや「生きる力」を備えること。エネルギー依存の見直しや、種まで含めた自給率の向上、道や建物などのセルフビルド技術の習得を実現しながら、それを皆さんにイベントとして学びの場を提供できたらと考えていますし、何より今の暮らしの楽しさを伝えたいですね」
楠クリーン村 https://kousakutai.net/
「宇部市は行政がとても協力的でスピード感があるように思います。新しいことを始める時の高揚感や、それを楽しもうとする感性があ ります。街の方々も『スポーツをするために引越してきてくれたのだから全力で応援するよ』と、移住者を温かく受け入れてくださっています。都会から移住した選手も『断然こっちがいい!』と、宇部での暮らしやふれあいを楽しんでいますよ。特に、宇部は文化レベルがとても高いまちだと言われます。ときわ公園を歩くだけでインスピレーションを得られたり、変わった彫刻が街中にたくさんあったり…日常の中で音楽やアートなどいろいろな文化に触れることができるのは宇部の特長でもありますよね」
─ 新型コロナの影響で、公式戦が無観客になり、ファンの方との交流が減ってきていた中、廣田さんが挑戦したのがカフェの運営。「選手に会えるカフェ」として、選手らが接客や調理を担当。より地域に密着するチームづくり、元気なまちづくりを目指しています。
「『コロナだから』と悲観的にならず、『コロナだからこそ』できることを考えて挑戦していかないと。選手たちが頑張っているところを、一
人でも多くの人に見てもらいたいし、今まで関わりのなかった方も、カフェを通じてチームのことを知ってもらうきっかけになればと思っています。ミネルバ宇部が、このまちにあってよかったと思っていただけるようなチームにしていきたいですね」
─ 今後の目標を教えていただけますか?
「地元だけでなく、山口県外から移住する選手も広く受け入れてチームを強化していきたいですね。選手たちには、チーム活動を通し て宇部の良さを知ってもらい、第二の故郷のように愛着を持ってもらいたいです。スポーツの力で地域創生を実現するため、新しい事業にも挑戦しつつ、宇部のまちをチームとともに元気にしていけたらと考えています」
ミネルバ宇部 http://www.minerva-ube.jp
東京都から移住
なんと55の国と地域へ渡航経験がある佐藤さん。20代の頃はバックパッカーだったそうです。「アフリカでは野宿中にオリックスに起こされたり、金品目的で監禁され命からがら逃げたり、危険な目に遭った事も多々ありましたが今となってはいい思い出ですよ」驚きのエピソード満載の佐藤さんにインタビュー。
「イギリスに語学留学する予定で2020年の3月から会社を休職したのですが、新型コロナの影響で留学できなくなりました。そこで休職期間中に東京で開催された農林水産省のイベント企画に参加しました。全国6か所に農業研修に行けるというもので、そのうちの一つ、宇部に研修で訪れたのがその年の11月のことでした」
─ なぜ農業と田舎暮らしを選ばれたのですか?
「東京の暮らしは便利である反面とても窮屈で。コロナの出現でより窮屈な社会になったなとも感じていました。1993年頃に起きた平成の米騒動では、国産のお米が食べられず、小学生ながらとても記憶に残った出来事だったんですね。それが食に興味を持った最初のきっかけでした。その後、バックパッカーとしてジンバブエを旅したときに、たった1日で物価が倍になる「ハイパーインフレ」を経験したのです。食糧不足でいくらお金を持っていても物が買えない状況に直面し、現地で生産者の強みを痛感しました。家族や身の回りの分だけでも賄えるぐらい自分で生産してみたい…と、農業への興味が湧いてきました」
─ 2022年8月1日、万倉地区の地域おこし協力隊として着任され、現在はどんな活動をされているのですか?
「万農塾という農業研修施設で毎日農作業をしており、収穫した野菜は直売所に出荷しています。毎年11月にある収穫祭では対面販売したり、夏にはアスパラの収穫体験を行い、若い世代に農業生産への理解を深めてもらったりしています。地域活動としてはイベントの設営や準備、岩戸神楽舞の公演などのお手伝いもさせていただき伝統文化にも触れました。こうして様々な活動を通して地域を知り、馴染んでいけたらいいなと思っています」
─ 何か苦労されていることなどありますか?
「農業は思い通りにいかないことも多く大変ではありますが、就農前にこうして失敗が経験できるのは嬉しいことだと思います。近所の方々も親切にアドバイスして一緒に考えてくださるので、失敗も楽しく、本当に勉強になっていますよ」
─ 何事も前向きですね!最後に今後の目標を教えてください。
「現在の農業は体にいいものを作ることより、色や形が美しく売れるものを作ることが優先される傾向にあります。もちろん生産効率などを考えるととても難しい課題です。そんな中、私はできるだけ自然農法に近い形の有機農業をしたいなと考えています。いかに農薬を使わないか、本当にいいものとは何かを日々学んでいます。それらを消費者に知ってもらい、理解してもらい、考え方を変化させていけたらいいですね。そういう野菜を生産し、選んでもらえるようになれば、これからの農業もよりよく変わっていくかもしれませんね」
神奈川県横浜市から移住
「満員電車が苦手で、常にストレスで具合が悪くなっていたのですが、小野に来たらびっくりするほど体調が良くなりました」と、マスク越しでもわかるほどの笑顔を見せる梅澤さん。東京都出身で、台湾、山口県、横浜市での生活を経て宇部市に移住。
「もともと田舎で子育てをしたいと考えていました。妻の実家も山口県で、私も山口県の企業で働いていた時期もあったので、移住をするなら山口県がいいなと思っていました。『田舎暮らし』と言っても、ある程度都心部が良かったので宇部市を選びました。空港もあり、新幹線の駅までのアクセスも良い。スーパーも多くて大きなショッピングモールもある。そして何より、森と湖に囲まれた小野の環境がすごく魅力的でした」
─ 2021年11月4日、小野地区の地域おこし協力隊として着任。その活動内容を伺いました。
「移住促進の一環として空き家の利活用やイベントを企画しています。小野は子どもの人口減少が著しいので、特に子育て世帯に移住してもらえたらと考えています。そのためにも、まずは受け皿をしっかりと。住居は生活の基盤。住むところがないとせっかく見学に来られた移住希望者も、それを理由に逃してしまっているのでもったいない。地域団体と協力し、空き家をちゃんと生活ができるように一軒一軒改修していきます。この小さな地域だけでは限界もあるので、近隣の協力隊の方や業者にも協力してもらえるよう、様々な交流にも積極的に参加しています。また、現在イベント支援事業へ提出する企画案を準備中で、補助金が支給されれば年内にイベントも開催予定です。小野の魅力を知ってもらえる機会になればと考えています」
─ 何か苦労や心配されていることなどありますか?
「いま(令和3年度)小野小学校は、全校生徒数が18名で、このままいくと数年後には3分の1になります。廃校にしたくないという地域の思いもありますし、私自身これから父親になる身としては他人事ではありません。私は小野小学校が大好きです。少人数制なので一人一人きちんと見てもらえますし、私が本当に素晴らしいと感じたのは、子どもたちが主体性を持って行動できるということ。物怖じせずに自分の意見をまっすぐ伝えられること。私もそういう子どもに育てていきたいなと思っています。地域とのつながりもあるので社会性も身につけられるし、地域の皆さんが一緒に子育てしてくれるような安心感があります。高学年の子が低学年の子に手を差し伸べて助ける姿も目にします。自然環境はもちろんですが、そういう人の温かさを感じられる場所で子育てができることは何ものにも代え難いですね」
─ 今後の目標を教えていただけますか?
「宇部市の移住定住サポートセンターの方々は本当に協力的で、熱心に活動を支えてくれています。何をするにも人とのつながりは大切。移住促進の要にもなる人脈は、任期終了後に視野に入れている起業の際にも重要になります。移住促進の基盤作りを行いつつ、いろんな人に会いたいですね」
インフォメーションセンター おの https://www.info-ono.jp/